はじめに
「ラケットを振ると肘が痛い」「テニス肘と診断されたけどなかなか良くならない」――そんな悩みを抱えていませんか?
実は、その痛みの本当の原因が“肘以外”にあるケースは意外と多いのです。特に40代〜60代のプレイヤーにとっては、長年の姿勢や筋肉の使い方のクセが、肘に負担をかけていることがあります。
この記事では、鍼灸師としての視点から「首・肩・背中・手首」など、肘以外に潜む原因をわかりやすく解説します。
肘の痛みは“結果”であることが多い
テニス肘(上腕骨外側上顆炎)と呼ばれる症状は、肘の外側の腱に炎症が起きるものです。
ですが、実際にその部位だけを治療しても良くならないケースでは、「ほかの部位に原因がある可能性」を疑う必要があります。
鍼灸の臨床でも、肘そのものよりも“首”や“肩甲骨”まわりを緩めることで痛みが和らぐことは珍しくありません。
肘に影響する「見落とされやすい部位」とは?
肘の痛みや不調は、実は肘以外の“緊張した筋肉や神経”が引き金になっているケースも多くあります。
以下に、肘に関係しやすい代表的な部位と、対応するツボ、セルフチェックのヒントをまとめました。
原因部位 | おすすめのツボ | セルフチェックのヒント |
---|---|---|
首(頚椎・副神経) | ●肩中兪・🟢扶突 | 横を向くと首や肩に違和感がある |
肩(三角筋・腋窩神経) | 🟠肩髃・●臑会 | 肘より前にラケットを出しにくい |
背中(胸椎・副神経) | ●膏肓・🟡風門 | 背中を伸ばすのがつらい |
手首(伸筋群・橈骨神経) | ●陽地・🔵陽谿 | グリップが安定しない・握りづらい |



これらの部位に緊張があると、肘に過剰な力がかかりやすくなります。
どう対処する?
まずは「肘だけケアする」から一歩進んで、全体の動きや筋肉バランスを見直すことが大切です。
● 具体的におすすめの対処法:
- ストレッチやセルフマッサージ(特に鎖骨の周り、腕の筋肉を緩める)
- お灸などで温める(頚椎・胸椎周辺を温めて緩める)
- ツボ刺激:天柱(首こり)、肩井(肩の緊張)、曲池(肘周辺)など
まとめ:肘だけじゃない「全身のケア」で痛み軽減へ
肘の痛みがなかなか改善しない場合は、「首・肩・背中などに原因があるかもしれない」という視点を持ってみてください。
セルフケアの幅を広げることで、改善のヒントがきっと見つかります。
肘の痛みがなかなか改善しないとき、「首や背中が原因かもしれない」という視点も大切ですが、もちろん「肘そのもの」のケアも忘れてはいけません。
次回は、**肘まわりの筋肉やツボに着目した“直接的なセルフケア法”**を詳しくご紹介します。
テニス肘に悩む方が、少しでも楽に、そして長くプレーを続けられるように――
まずは自分の肘と向き合うところから、はじめてみましょう。
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